アイツと俺のビターフレイバー

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「っ……―」  電気が点いて部屋の中を照らすと、布団を抱えながら、苦しそうに呼吸をしているリンがいた。 「えっ? ちょ……リン?」  リンの様子に目を瞠る。そして、急いで布団の傍まで駆け寄り腰を下ろして声を掛けるが、赤い顔をしながら苦しそうに呼吸するのみで反応が無い。いつものグレーのスウェットが、汗によって濃い色に変わっているのを見て、リンのおでこに手をあてた。思いのほか触れた肌が熱く驚いた蒼は、急いで手を離す。 「えっ? あ、熱っ。お前、もしかして熱があるのか」 「うっ……」  お腹を抱えるように丸まって苦しそうに呻くのみで、蒼の問いかけに反応がない。 「まじかよ……」  今、目の当たりにしている事実に肩を落として天を仰いだ。しかし、そんな悠長に構えている場合ではないことに気づく。 ――風邪か?    でも、今日も朝は元気に蒼の足に纏わりついて走り回っていた。それに咳をしている素振りはない。なのに、この高熱はなんだと考える。猫特有の病気なのか?  自分が知らない病なのかと考えるも一向に思いつかなかった。少しでも手がかりを求めようと蒼は、部屋の様子を見渡し状況を把握する。 「―……」  リンの周りに、大好きなポテトチップスとヨーグルトの殻が転がっているのが見える。また食い散らかしやがってと思いながら、殻をごみ箱に入れようと手に取る。
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