アイツと俺のビターフレイバー

6/6

616人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
** 「ほら、まだ本調子じゃないだろ。薬飲めよ」  そういって、薬を取り出して口に入れた蒼に対しリンは、口から勢いよく薬を蒼目がけて吐き出す。 「蒼、お前……俺になんてことをするんだよ」 「はぁ?」 「こ、こ、こんな……。ウサギのうんこを飲ませるなんて、お前鬼畜かよ。俺が苦しんでいるのをいいことに、今まで部屋を散らかしていた報いか?」 「何言っているんだよ。俺はお前を心配して薬をだなー」  元はと言えば、食べ物に意地汚いリンが招いた自業自得だったのだ。寝ながらポテトチップスを食べたり、賞味期限がとうに過ぎているヨーグルトを食べたり……。人が心配して寝ずに看病していたのに、その態度は無いだろうと思い、怒りが沸々と湧いてくる。蒼は、横たわっていたリンの横腹を足で踏みつける。 「いったいなー。俺は、病み上がりなんだぞ。しかも、お腹はダメだろ、お腹は!」 「ふんっ。ウサギのうんこなんて食べさせるわけないだろ。お前はバカか?」 「バカ?」 「そうだ。お前、脳みそ小さいもんな」 「はぁ? 蒼なんて、ちんこ小さいくせに。偉そうだぞ!」 「はぁぁぁ? 今、それを言うか? それに、今の言葉は禁句だろ!」  いつの間にか二人は、取っ組み合いの喧嘩を始める。  最終的に蒼は家主をたてに、リンはセックスの時のマウントをたてに、どちらが優位なのかを力説し張り合う。  “喧嘩するほど仲がいい”  今日もその定説を立証すべく繰り広げられている。                *終わり*
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

616人が本棚に入れています
本棚に追加