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「ほら、まだ本調子じゃないだろ。薬飲めよ」
そういって、薬を取り出して口に入れた蒼に対しリンは、口から勢いよく薬を蒼目がけて吐き出す。
「蒼、お前……俺になんてことをするんだよ」
「はぁ?」
「こ、こ、こんな……。ウサギのうんこを飲ませるなんて、お前鬼畜かよ。俺が苦しんでいるのをいいことに、今まで部屋を散らかしていた報いか?」
「何言っているんだよ。俺はお前を心配して薬をだなー」
元はと言えば、食べ物に意地汚いリンが招いた自業自得だったのだ。寝ながらポテトチップスを食べたり、賞味期限がとうに過ぎているヨーグルトを食べたり……。人が心配して寝ずに看病していたのに、その態度は無いだろうと思い、怒りが沸々と湧いてくる。蒼は、横たわっていたリンの横腹を足で踏みつける。
「いったいなー。俺は、病み上がりなんだぞ。しかも、お腹はダメだろ、お腹は!」
「ふんっ。ウサギのうんこなんて食べさせるわけないだろ。お前はバカか?」
「バカ?」
「そうだ。お前、脳みそ小さいもんな」
「はぁ? 蒼なんて、ちんこ小さいくせに。偉そうだぞ!」
「はぁぁぁ? 今、それを言うか? それに、今の言葉は禁句だろ!」
いつの間にか二人は、取っ組み合いの喧嘩を始める。
最終的に蒼は家主をたてに、リンはセックスの時のマウントをたてに、どちらが優位なのかを力説し張り合う。
“喧嘩するほど仲がいい”
今日もその定説を立証すべく繰り広げられている。
*終わり*
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