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開始から2時間が経ち、そろそろ自分の役目は十分果たしたはずだ。
部下たちの相手も疲れたから、早く家に帰って、いつものスウェットを着てゴロゴロタイムに突入したいと蒼は思った。
そして、頃合いを見計らって口を開く。
「俺、もうそろそろ帰るわ。明日は土曜日だし、お前らは俺がいなくなって伸び伸びと飲むがいいさ。あ、ちょっと多めにお金置いておくな」
「えーーーっ、部長、帰るんですか? ちょっとー俺たちに内緒で愛猫家の女子としっぽりするつもりですか?」
「違うって。お前ら酒飲んで面倒くさくなってんじゃねーよ。俺は帰る!」
スーツを掴まれて、まだ帰るなと強請る部下をしり目にビールを飲みほして立ち上がった。
「部長、本当に帰るんですか?」
「俺は、帰るぞ! 多めにお金置いてくから許せ」
「部長、ご馳走様でーす」
最終的に現金な部下たちは、お金多めに置いていくという言葉で、ようやく引き留めるのをやめてくれた。
あの宴の場から逃げ出せた蒼は、ジャケットを羽織り、部下のまだ盛り上がっている声を聞きながら居酒屋をあとにするのだった。
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