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高揚する頬、胸の底から沸き上がる歓喜。あかねはそれに、身を委ねることに決めた。
「熱なんてないわ。あなたに見とれていただけ」
「ほんと? 毎日見てても、そんな風に思ってくれるんだ?」
「毎日? ……そうね、毎日見ていたって、慣れないこともあるわ。美人は3日で飽きるなんて嘘ね」
「そっか。俺も、そう思う。あかねに飽きることなんて、この先も一生ないよ」
ああ、本当に、なんてすばらしい夢。できることなら、この夢から覚めたくない。
あかねは砂糖菓子のように甘い一時を、ベッドの上の彼と過ごした。
幸せな時間は、過ぎるのがあっという間ーーあかねがその言葉の意味を、今日ほど理解した日はなかった。
何をするでもなく、ベッドの上で優しい会話を楽しんでいただけなのに、いつのまにやら窓の外には夕日が浮かんでいた。夢の中でも時間は過ぎていくのかと、あかねは回らない頭でぼんやりと思う。
あまりに柔らかな彼の言葉を、あかねの脳は子守唄とでも受け取ったのだろうか。先ほどから強烈な睡魔があかねを襲い、瞼が自然と降りてしまう。
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