0人が本棚に入れています
本棚に追加
別れ
私が好きなあの人には、好きなひとがいる。
彼は私の親友で、彼女は私の親友だ。
彼はいつも私ではなく彼女のことを見ている。私は彼のことが好きなのに、彼は私に恋愛感情を抱いていないからだ。
そして彼女もまた、彼のことが好きらしい。前に私に話してくれた。
二人の親友が、好き同士になってしまった。
でも、二人に対する気持ちには、意外にも変化がなかった。
特に彼女とはよく話をする。
ファッションの話とか、学校の話とか、成績の話とか、誰かへの愚痴とか──恋バナとか。
話すのは楽しいから、話題には事欠かない。三時間でも、五時間でも話していられる。
それに比べて、彼は変わってしまった。
彼女のことが好きなのは別に……いい。
でもせめて、わたしにも友達として好きでい続けさせてほしい。
私がなにをしても、なにを話しても、曖昧な返事しかしてはくれない。
なんとか彼を振り向かせようと、いろいろなことをした。抱きついたり、つっついたり、とにかくなんでも。
でもダメだった。それくらいでは彼の気持ちは揺るがなかったらしい。
彼はわたしではなく、反対側の彼女ばかり見ている。
それくらい、彼は彼女のことが好きなようだ。
最初のコメントを投稿しよう!