8人が本棚に入れています
本棚に追加
中間試験も終わり、六月に入ると雨が多くなった。梅雨はないとはいいつつも、本州ほどではないにせよ雨が多くなる。雨ばかりだと何となく気分が滅入る。
お母さんが家を出て行った日、雨が降っていた。だから、きっと、私には少しトラウマがあるのかもしれない。でも、今年はバンドの練習も減って余裕が出来た青山くんと過ごす時間も増えたので、あまり気が滅入らずに済んだ。
七月に高校野球の予選大会があり、南北海道大会にも行けずに地区ブロックの予選で負けてしまった野球部員が二名ほど、イモ掘りアルバイトに参加することが決まった。全学校で球場へ応援に行くとき、吹奏楽部はスタンドで様々なマーチを演奏する。
青山くんは、ブラスバンドの定期演奏会こそ二年生にポジションを奪われてしまったけれど、野球の応援ではスタンドにセットしたドラムを叩いていた。野球部の二人、春田くんと横川くんは、いつも応援してくれていたから、と青山くんへのお礼のつもりらしい。
…とは、表向き。何のゲームが欲しいだの、どこそこへ旅行に行くだの言っていたから、早い話、お金が欲しいのだ。こちらとしては、力持ちのスポーツマンが加わってくれるのは嬉しいから、利害関係の一致というやつだろう。
かくして、期末試験も無事終了。一学期の終業式を終えると、いざ、イモ掘りへ。今年の夏休み、何だか楽しくなりそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!