第九章

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 ジャガイモの中にはものすごく大きく育ったものもあり、大きいものは大きいものでまとめられるので見ていて圧巻だ。普通サイズがやはり多いけれど、中には出荷出来ない小さいものもあり、それらを毎回もらって帰ることが出来たので、夏の間中、ジャガイモを買わなくて済みそうだ。  他にも青山家の親戚たちが手伝いに来ていたので、私は初日から質問攻めに遭った。聞くところによると、槙田くんも最初に手伝った一昨年は相当質問攻めに遭ったとのことだった。  好奇心旺盛な青山家のみなさんから青山くんとのいきさつなどを質問されて困っているのに、当の青山くんは、へへへ、と笑っているだけで助け舟を出してくれなかった。  帰りは最寄り駅まで、青山くんの伯母さんがワゴン車でみんなを送ってくれる。朝も迎えに来てくれるので郊外といえど行き来は楽だった。 「土まみれになって働くのもいいもんだよな」  しみじみそんなことを言っている、日焼けした青山くんの横で、 「うん、そうだね」  なんて答えながらも、私はこのバイトが終わる日を指折り数えていた。
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