第九章

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 二学期の始業式の日、いつも迎えに来るはずの青山くんが来なかった。 〈ごめん。朝、ちょっと寄るところがあるから先に行って〉  という連絡のみ。 〈了解〉  という、こっちもたった二文字で返す。何て、素っ気ない。絵文字もスタンプも何もない、たった二文字が冷たく映る。  本当は、私のことがもう嫌いになってしまったのだろうか。あんなに、有沙、有沙、とまとわりついて来たというのに。  歴代の彼女たちは、青山くんから冷たくされて別れたと聞いた。  これが、それ?  青山くんは私に飽きてしまったのだろうか。もう、やることやっちゃったら、ポイ?   私はこのままフェードアウトで青山くんの中から消えて行くの?  様々な憶測が私を圧し潰しそうになる。  結局、始業式に青山くんは来なかった。
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