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「ねえ、王子様、今日はとても天気がいいですわね。お散歩しません?」
「そう、だね」
「どうかしましたか?」
「いや、その、結婚したのに、王子様っていうのはなぁ、と思って」
「では、何とお呼びすれば……」
「姫の好きなように呼んでくれ」
「あら、王子様も、わたしのことを姫と呼んでいらっしゃるじゃないですか。名前で呼んではいただけないのですか?」
「それは、少し、恥ずかしい、な」
「ふふふ、王子様お顔が赤いですよ?」
「……気のせいだ」
仲睦まじく暮らしていた二人の間には、いつも笑顔が溢れていました。美しいお姫様の笑顔は花が咲いたようでした。お姫様の美しさは、変わりませんでした。一年経っても、三年経っても、五年経っても、その美しい外見は“全く、何一つ変わりません”でした。
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