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序章(プロローグ)
"SHERLOCK GIRLS(シャーロックガールズ)"の一人であり､“当時”志名川学園高校探偵部3年生部長だった蒼姫雫さんが西暦1981年5月ＧＷ修学旅行先の米国で､NY市警や"FBI"が四苦八苦していたNYtheRIPPER事件を解決した直後､｢forest art.｣というダイイングメッセージなるモノを自らの生徒手帳とパスポートに直筆で書き残し､ナイアガラの滝の一つであるブライダル･ベール滝の上流に架かった歩道橋で､日本時間5月4日(月曜日)未明の朝霧に目撃されたのを最期に姿を消してから丁度､一年半となる｡
ナイアガラの滝は､カナダとアメリカの国境に位置するため､カナダのオンタリオ州警察とアメリカのニューヨーク市警察が､“米国連邦捜査局(FBI)”の仲介の元で合同捜査を行っている｡未だ行方不明の中で､日本との外交問題に発展することを懸念しての特別継続捜査だという｡そして､近々､元NY市警OBたちの有志で構成された民間慈善団体NY協会から､一連の事件"NYtheRIPPER"解決の恩赦として､蒼姫さんに支払われる予定だった多額の懸賞金が､蒼姫雫さん行方捜索の"特別捜査報奨金"に切り替わるという噂だ｡
昨年度の卒業式は､異例の卒業生一名が失踪不在による仮出席の中で執り行われた｡故に蒼姫雫さんの卒業証書は､もう一人の"SHERLOCK GIRLS"であり､探偵部副部長の白菊華絵さんが蒼姫雫さんの代わりに受け取った｡高校卒業後､白菊華絵さんは直ぐに第二の故郷である米国へ渡り､蒼姫雫さんの叔父にあたる私立探偵の蒼姫兼蔵さんと共に"NY"で今もなお､手がかりを探し続けている｡
現在､志名川学園高校の三年生になった自分｡“空白の部長席”にある色褪せた探偵部ノート“語ラレザル”を数ページ捲ると､途端に破られた跡が残っていた｡"SHERLOCK GIRLS"こと蒼姫雫さんや白菊華絵さんが所属していた志名川学園高校探偵部へ入部したての頃に学園内で発生した出来事を思い出す｡そう､あれは梅雨時期目前に訪れた季節外れの"spring殺人事件"だった｡
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