Case.0*spring殺人事件(前編)

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 蒼姫さんと白菊さんの提案で、先ずは新校舎を4階→3階→2階→1階の順で探すことになった。そして、大梅先輩が書いたとされる手紙を蒼姫さんは、小宮から預かった。話が終わり、大梅先輩を探す為に部室を出ようとした時だった。小宮が今まで座っていたソファーに何故か、色褪せた桜の花びらが落ちていた。そのことに小宮は、気づいていない。確か、座る前にそのような桜の花びらは落ちていなかった筈だ。蒼姫さんと白菊さんに伝えようとしたが、すでに二人は、それに気が付いている様だった。  部室から出ようとしていた小宮に透かさず白菊さんが、「少し準備支度があるから、廊下で待ってて」と頼んだ。それに対して小宮は頷き、探偵部の部室を出た。ドアが締め切られたことを確認すると、蒼姫さんは自らの席へ向かう。蒼姫さんの部長席にある木製机には、鍵付き引き出しがあり、その中には色々な探偵道具が入っている。その鍵を持っているのは、言うまでも無く蒼姫さんだ。卒業後に入ってくる後輩が探偵部に相応しい者かどうかを試す為か親戚のお兄さんは、引き出しの鍵を隠し、少々難しい暗号を書いた鍵の在処を示すメモを探偵部ノートに貼り付け、部長席の机上に置いて卒業した。だが、飛び級の蒼姫さんと白菊さんは、いとも簡単に暗号を解いて机の鍵を手に入れたという。鍵が隠されていた場所は、探偵部の室内でメモの横に置かれていたステンドグラス灯の内側に隠されていたらしい。灯台下暗しというものだ。予備鍵(スペアキー)は、 引き出しの中の小さな木箱に入っていた鍵が1本だけある様で、それは白菊さんが自宅で大切に保管しているそうだが、蒼姫さん曰く、白菊家の愛犬"ジョン・S・ワトソン"の首輪代わりにされている様だ。     
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