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「はい。それで、写真同好会の部室に行くと、部室の鍵は既に開いていて、中に入ると机の上に大梅先輩のカバンが放置されていたのですが、肝心の大梅先輩は見当たらなくて…。そうしたら、そのカバンの横に僕宛の手紙が置いてあったんです!」
そう言うと、少し前までうつ向き加減だった小宮が顔を上げた。
「それは今、持っていますか?持っているのなら、ぜひ見せて頂きたいです」
蒼姫さんは、手紙の存在を確認するため、小宮に手紙の拝見を要求する。それと同時に蒼姫さん制服の胸元ポケットから白手袋を取り出し、片方ずつ手袋をはめた。タクシー運転手さんたちがしている様な手袋で、自分と白菊さんも、その袋を持っている。因みに白手袋代は、部費でなく自費だ。
「それなら今、手元にありますよ」
すんなりと答えた小宮は、制服のズボンポケットから、きれいに小さく四つ折りされた紙をおもむろに取り出して、蒼姫さんに手渡した。
「これが、その手紙です。どうぞ」
「拝見します」
小宮から受け取った手紙を蒼姫さんは広げた。白菊さんと自分も広げた手紙を覗く。紙そのものは、ノート紙のような白紙で、大きさはB5サイズ位。丁度、探偵部ノートと同じ大きさだ。文字は、赤ボールペンで縦に殴り書きされていた。そして内容は、「小宮へ 急な用事が出来た。帰ってくれてもいいから探さないでくれ! 大梅より」というものだった。蒼姫さんは、小宮に優しい声で、質問を続ける。
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