スナック花水木

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タエさんでダメなものが、私に何か出来るわけないのに。そう思いながら渋々とカワダさんの前に座った。 項垂れていたカワダさんが顔を上げ、私の顔をチラリと見た。 「ああ、ユキちゃんか。もう、俺の所はいいからさ、向こうへ行きなよ」 と言った。タエさんの方を見ると(いいからお喋りしなさい)と言う風に、ジェスチャーを送っている。 「うーん。それが、そうもいかなくて…」 「じゃあ、アイちゃんをここに呼んでくれないか」 一体どうしたのだろう。カワダさんは、アイちゃんの騒がしい取り巻き達とは違って、とても紳士的で穏やかな印象だったのに。 カワダさんが私に「飲めば?」と言って、自分のボトルを差し出した。 「じゃあ、いただきます」 私はグラスに氷をたくさん入れて、薄い水割りを作った。 本当はお酒ではなくジュースがいいのだけれど、ジュースはなぜか千円もした。お気に入りでもない私が頼んだら、忌々しく思うだろう。 空になっているカワダさんのグラスにも水割りを作ると、カワダさんはそれをあおるように飲み干した。 「ねえユキちゃん。アイちゃんってさ、付き合ってる男がいる?」 「そういう話は、聞いた事がないけど…」 「いるんだろうな…きっと…」 「カワダさん、アイちゃんが大好きなんですね」     
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