スナック花水木

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近くにあるラーメン屋に入り、タエさん、社長、私、ミホさんの順にカウンターに座ると、社長が「いつもの4つ」と注文した。 真夜中なのにラーメン屋は意外と混んでいて、私は少し驚いた。 カウンターの上に並んだラーメンは澄んだ醤油のスープで、大きな鶏の唐揚げがトッピングされている。 「疲れたかい?やっていけそうかい?」 「少し疲れました。でも、頑張ります」 「ハッハッハそうかそうか。まあ食べなさい」 ラーメンは美味しかったけれど、なぜだかとても悲しくなった。 スナックで働くのが、嫌とか惨めなわけでは決してなかった。なのに、目の奥がつんと痛かった。 食べながらミホさんが、社長にこう切り出した。 「ねえ社長。今日のアイちゃん、いけないと思います。まるで友達同士みたいな口のきき方して。お客さんに失礼だと思うの」 「ああ、確かにちょっとねぇ」 「アイか。まぁ、あれはまだ子供みたいなもんだからな。お客さんも怒らないだろう」 「もう!社長はいつもそうやってアイちゃんには甘いんだから」 「何を言うか。俺はみんなが可愛いぞ。あーもう解った。今度アイにはちゃんと注意するから」 この日のアイちゃんは、少しふっくらした体型を客にからかわれ、むくれていた。でも客もアイちゃんもふざけて楽しんでいるのだと、私は思っていた。     
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