スナック花水木

8/39
前へ
/39ページ
次へ
元彼とふたりでよくカラオケスナックに行ったので、デュエット曲を何曲も知っていた。 だから会話があまり弾まない時には、カラオケで場をつないだ。タエさん達もお客さんに 「ユキちゃんと、デュエットお願いしまーす」 等と、助け船を出してくれた。 ある日の初来店のグループ客は、スナック花水木の雰囲気がすっかり気に入った様子だった。 「へぇ~。こんな若い子ばかりいる店って、この辺じゃ珍しいよね」 「うちは女の子の平均年齢23歳ですからね。まぁ、平均年齢を上げているのは私ですけどー」 タエさんがペロッと舌を出して見せると、店内がドッと沸いた。 タエさんはショートヘアの和風美人だった。黙っていると幸薄そうな雰囲気ではあるが、元気な口調で話す明るい人だった。 ミホさんはいかにも夜の蝶といった風情で、化粧は濃い目だがとても綺麗だった。22歳にはまるで見えない落ち着きと色気があった。 そしてアイちゃんは、大きな目をした美少女だった。背が高く胸が大きいので、客によくからかわれていた。 客がアイちゃんに「もっと胸元の開いた服を着てよ。俺が買ってやろうか?」とからかい 「エッチ!変態!だーいっきらい!」 等と叫んでいた。それでも嫌われないのだから、若さって得だなと22歳の私が思うのだった。     
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加