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元彼とふたりでよくカラオケスナックに行ったので、デュエット曲を何曲も知っていた。
だから会話があまり弾まない時には、カラオケで場をつないだ。タエさん達もお客さんに
「ユキちゃんと、デュエットお願いしまーす」
等と、助け船を出してくれた。
ある日の初来店のグループ客は、スナック花水木の雰囲気がすっかり気に入った様子だった。
「へぇ~。こんな若い子ばかりいる店って、この辺じゃ珍しいよね」
「うちは女の子の平均年齢23歳ですからね。まぁ、平均年齢を上げているのは私ですけどー」
タエさんがペロッと舌を出して見せると、店内がドッと沸いた。
タエさんはショートヘアの和風美人だった。黙っていると幸薄そうな雰囲気ではあるが、元気な口調で話す明るい人だった。
ミホさんはいかにも夜の蝶といった風情で、化粧は濃い目だがとても綺麗だった。22歳にはまるで見えない落ち着きと色気があった。
そしてアイちゃんは、大きな目をした美少女だった。背が高く胸が大きいので、客によくからかわれていた。
客がアイちゃんに「もっと胸元の開いた服を着てよ。俺が買ってやろうか?」とからかい
「エッチ!変態!だーいっきらい!」
等と叫んでいた。それでも嫌われないのだから、若さって得だなと22歳の私が思うのだった。
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