スナック花水木

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私は少しづつ、夜の仕事に馴染んでいった。 冷房のないアパートの部屋には、小さな扇風機を買った。 それでも暑くてよく眠れないので、エアコンのきいた会社で居眠りばかりしていた。 元々仕事が出来る方ではないのに、ますます捗らなくなった。 昼間は小さなソフトウェア開発会社の正社員だが、そこでも私は全く使いものにならないプログラマーだった。 いつも納期に間に合わず、他の社員に迷惑をかけていた。 そして、課長から注意を受けた。 「最近さ、いや、最近って事もないけど、お前どうしたの?自分の仕事、他の奴にやらせてるでしょう」 「お前とか言わないで」 「…ああ、悪かった。でもさ、この頃遅刻や欠勤が多いから、部長に様子を聞くように言われたんだ」 「今後は、気をつけます」 「どっか具合でも悪いんじゃないの?病院に行ってみたら…」 「あなたにはもう、関係ないから」
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