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12畳ほどの部屋にGLに繋がる筐体が4つ。雑然としている。
『あれ? もう1人いたような?』
『ああ、佐久間なら帰ったよ。ボランティアだって。“18歳問題”に真剣なんだよ、ハハハ』
18歳問題とは18歳になると政府から支給される寿命の量をできるだけ増やそうと“いい人”を演じる行為だ。そんな事をしたところで変わるのは多くて数ヶ月。無駄だ。
『大変だね。それより、この筐体はどうしたの? 4つも』
『中古や粗大ゴミで捨てられてたのをメンテナンスしたんだよ。スカイ君はホント閉鎖的な環境で育ったんだね。自宅に筐体はないでしょ?』
『ないよ。父親が自衛官だったから』
『やっぱりね。公務員はGLにインせず莫大な寿命を手に入れられる。筐体がなくてもATMやウェアラブル端末で寿命が支給されるでしょ』
『ねえ、飯田』
『スカイで良いよ、オズ部長』
『スカイ、今日はお祭りがあるよね。一緒に行かない?』
『悪い。先約が入ってるんだ。だからっ……』カミユ先輩に首根っこを掴まれる。
『バカ! 学校一の美女の誘いを断るのか!?』
『幼馴染みに誘われてるから』
『まあまあ、2人とも。私が絶世の美少女だからって争い事はやめて』オズ部長はロングヘアーをかきあげながら言った。
『部長! 僕なら空いてますが』
『カミユ君ゴメン、女友達と行くわ』
何となく、サッカー部のパワーバランスが分かった。
『…………よし、スカイ君。プラグを出して』
『プラグ? 延髄にあるヤツ?』
『そうだよ。2つの眼球に次ぐ3つ目の剥き出しの臓器とも言われている』
俺はプラグの蓋を開ける。『痛っ!』初めて開けた。
『じゃあ、好きな筐体に座って。旧式のヘッドマウントディスプレイと脳内再生式が2体ずつあるよ』
『まずは旧式のヤツから』
俺はカミユ先輩にプラグを挿してもらい、ヘッドマウントディスプレイを着けて、初めてGLにインする。
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