プロローグ

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 ギャンブリンライフとはバーチャルリアリティーゲームである。  しかし、普通のバーチャルリアリティーゲームとは違う。人口爆発を抑える為に作られ、他人の寿命を奪い合う事が出来る。寿命がタイムオーバーすると心停止を起こす。18歳になるとエントリーができる。世界政府から“平均10年分”の余命が与えられる。18歳までの行いによって貰える寿命に差がつく。  買い物等の支払いは寿命を売るか、宝飾品、現金などで。  底辺労働者は朝から晩まで働き、僅かな寿命を報酬として得てその日暮らしをしている。  ギャンブリンライフは一発逆転を狙う連中で溢れている。  日本は元々ギャンブルの国だ。土壌がありバーチャルリアリティーゲームが活発だ。 ――ある男が賭けをした。寿命が残り5日と10時間9分。男は焦っていた。最近、職を奪われたからだ。自宅のアパートで考え込む。 『5日とちょっと…………死にたくない! まだ37歳だ。何か方法は!?』手のひらに映るカウントダウンの数字。 『寿命銀行から借りるか? いや、しかし、担保にできる物がない。…………ギャンブリンライフで賭けをするか? ジャンルは何で寿命を……? よし、丁半だ』  ギャンブリンライフはVRゲームであらゆるギャンブルや対戦ゲームで他人から寿命を奪う事が出来る。……勝てれば。  男は早速、ギャンブリンライフの筐体に座りプラグを挿して、ヘッドマウントディスプレイを頭に装着する。  男はギャンブリンライフ、通称GL(ジル)に入る。フィールドは1~3000まであり、1つのフィールドは6角形になっており、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、格闘ゲーム、スロット、ルーレット、囲碁、将棋など、あらゆるモノが賭けの対象になっている。他プレーヤーの勝敗に賭けてもよし、本人がプレーヤーになるもよし。  男は勝てそうなテーブルを探す。丁半で勝てる確率は50パーセント……やるか? やらないか? ……5日分の寿命を賭けてやる。
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