プロローグ

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 次の日、日曜日もサッカー部の部室に行く。今度は4人揃った。 『スカイ君、昨日は悪かったね』カミユ先輩が言った。 『何の事?』 『クラスメートが近山農園の令嬢と知らずに声を掛けたみたいだけど』 『ああ、ミノルのことか』 『僕は近山農園でアルバイトしてるからさ。一気に肩身が狭くなったよ、ハハハ。スカイ君は近山農園の令嬢と付き合ってるのかい?』 『ちょっと待ちなさい!』 『何、オズ部長』 『私のファーストキスを奪っておいて、彼女が他に2人も!?』 『いや、付き合ってる訳じゃ……』 『ハハハ、スカイ君、ファーストキスだって?』またカミユ先輩に首根っこを掴まれる。 『いや、あれは事故だ』 『私のキスが事故ですって!?』 『何で俺ばっかり責められるのー!』 ――俺は誤解を解くために必死になる。勝手に円満解決したことにして、GLにログインする。 「スカイ君、今度は格闘ゲームだ。昨日は脳を酷使したみたいだから、ライトなヤツでいくよ」 『リミットは30分?』 「VRサバゲーは特段に脳を使うからね。格闘ゲームなら1時間は大丈夫だよ。好きなのを選びな」 『おっと! 200年前の格闘ゲームがある! スゲー』 「それを3D化したVRゲームだよ」 『おお! 立体に見えるのにドットは粗い』  火を吹くキャラに手からビームを撃つキャラ。投げ技専門のキャラなど総勢50キャラ居る。  俺はコンピュータを相手に50戦くらいした。  次の対戦をしようとした時、「スカイ君、1時間過ぎたよ。ログアウトして」 『は~い』  俺はヘッドマウントディスプレイを外し、プラグを抜く。 『スカイ、このタイプの格闘ゲームで53連勝は凄いわ』 『コンピュータのパターンは読めるからね』 『それも才能だよ。大型新人』佐久間先輩は興奮している。 『カミユ君が手を加えたのにね』 『手を加えた? どういう事?』 『敵からのダメージがデカかったでしょ。特にコンボは』 『確かに同じキャラでも喰らうダメージが大きかったな』
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