チートの始まり

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――俺とヨウヘイは車に乗り込む。 『自動運転、飯田スカイの家、最短ルート』ヨウヘイが車の中で言う。 「かしこまりました」  ウィーンと動き出す。電気自動車だから音が静かだ。 『野球部はどうだ?』 『ツヨシ君はレギュラーになるらしいよ』 『マジか!? 一年生だぞ?』 『ツヨシ君は怪力だからね、アハハ』 「ヨウヘイ様、到着しました」すぐに家に着いた。  俺は車を降りる。自動運転に自動ドアだ。高級車は総てがオートマチック。 『ありがとな、ヨウヘイ』 『別にいいさ、近所だし。じゃあね』ヨウヘイはケチだが、やる時はやる奴だ。俺が相当やつれて見えたんだろう。  俺は自宅に入る。 『母さん、ただいま~』 『スカイ!』母さんは血相を変えてリビングから来た。 『どうしたの?』 『学校で倒れたんだって? 心配かけないで!』 『勉強のしすぎかな? 来月まで通信制に変更していい?』通信制にすれば家に居ながら授業が受けられる。自由に期間を決める事ができる。 『GLにログインするんじゃないでしょうね? 軽度のGL依存症だって担任の先生から電話が来たわよ』 『無理はもうしないから安心して』俺はテキトーな事を言う。 『本当に?』 『約束するよ』 『じゃあ、お母さんはおじいさん達の家のハウスキーパーに行くから、焼き肉でも食べといて』 『分かった』  俺はウォーパークがやりたくてウズウズしている。ダメと言われると余計にやりたくなる。
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