チートの始まり

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 俺は部室で佐久間先輩から貰ったドーナツを食べてると、オズ部長とカミユ先輩が入ってきた。 『あ~、ドキドキしたわ』オズ部長はちょっと憔悴してるように見えた。サバ読みチップがバレたら人生オジャンだ。 『いいかい? 佐久間、スカイ君。監査員が居る間はスカイ君は三年生を装ってね』 『りょ~か~い』俺は軽い返事をするが、よくよく考えてみれば、チートで出場とか大博打だな。 『この作戦の要はスカイよ。今から30分、ハイリミットで特訓ね』 『ハイリミットのテーブルは大人ばかりだ。しかし、大会にエントリーした他校のチームと当たる可能性もある』 『俺が軽くノシてやるよ』  俺達4人はウォーパークにインする。佐久間先輩は観戦だ。 「スカイ、あなたの戦績にダイ1回ってあるけど、いつ負けたの?」ボイスチャットが来た。 『昨日だったかな~? 一昨日だったかな~?』俺は内心、ドキッとした。ウォーパークをプレー禁止になってる時だ。 「全く! あれほどオーバーワークはダメだって言ったでしょ!?」 『ほんの数分だけだよ』 「まあまあ、2人とも。それより部長、テーブルを決めて下さい」 「仏の顔も三度までだからね」 『りょ~か~い』また軽い返事をする。 「……3対3のテーブルが多いわね」 「ジュニアオリンピックのシーズンですからね。大体他校生でしょう」 「ここからはユーザーネームをオフにしてよ。他校に手の内を探られない為に」 「分かりました」 『ところで、皆は何で初期アバなの?』俺は周りを見渡す。 「スカイ君、下手にアバターをいじると狙い撃ちされるよ。初期アバに戻しなよ」 『囮になるからいい。航空自衛官のユニホームは俺のアイデンティティーだ』俺は父さんの手向けに今出来る事を真剣に取り組もうと思う。 「スカイは中距離の間なら自由にやっていいわよ。私とカミユ君でフォローする」 『分かった』 「3対3で17連勝してるチームがエントリー待ちですよ」 「時間は20分、合計キル15回制……手頃ね。エントリーするわよ」  パッと画面が変わる。一軒家だ。俺が初黒星を付けられたステージ。 「3、2、1、スタート!」
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