救いの手

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保はインドア派な健斗と違って、いろんな場所に出かけるのが好きだった。 休日の度にドライブの計画を立てては、すみれをあちこちに連れ出すようになっていった。 健斗と別れてから沈みがちだったすみれを元気にしたかったから。 それに保自身もすみれから元気を分けてもらうことができた。 保は友達も多かったから、時には仲間を集めてスポーツを楽しんだり、バーベキューや飲み会をしたりと親睦を深めるのも好きだった。 健斗は友達との交流があまり活発ではなかった。 だからすみれも健斗に合わせるように、友達と会うのを控えるようになっていた。 そのことに特別不満を持っていたわけではないし、健斗と二人きりでいるのが当たり前みたいに思っていた。 だから保の仲間と初めて会う時は楽しみより不安の方が大きかった。 自分がみんなに受け入れてもらえるのか。 保だけでなく、他の人たちと仲良くなれるのか。 しかし実際会ってみると、みんな気さくに話しかけてくれて、すぐに打ち解けることができた。 保は自分の友達を紹介するだけでなく、すみれの友達とも交流できるようにしてくれた。 自分の世界が広がっていくことに喜びを感じるすみれ。 仲間にいろんなことを相談したりできることが嬉しかった。 今まで知らずにいたこの喜びを自分に与えてくれた保には感謝してもしきれない。 優しく男らしく仲間を大事にする保が、誰よりも自分を愛してくれている。 そんな彼のことをすみれも心から愛するようになっていく。 約半年の交際期間を経て、二人は結婚した。
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