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すみれと保が結婚して半年が経過した。
保は内科医として多忙な日々を送りながらも、すみれとの新婚生活に幸せを噛み締めていた。
すみれは勤めていた会社を退職して専業主婦となり、忙しい保を心身ともに支えながら充実した毎日を過ごしている。
「すみれも今日は実家に泊まってきたらどうだ。今夜一人でここにいるのは寂しいだろう」
保が他県で開催される学会に出席するため、今夜は結婚して初めて外泊することになった。
すみれが夜に一人になるのが心配でたまらない様子。
「そうしてもいいんだけど……。なんだか最近体がだるい気がするからやめておくわ。家でゆっくりさせてもらうから大丈夫よ」
学会で発表する論文の準備で徹夜することもあった保。
すみれもそんな保を気遣い、食事など生活面で出来る限りのサポートに力を入れていた。
そのせいで疲労が溜まっていたのかもしれない。
「ここしばらく不規則な生活をさせてしまってたからな。しかし体調不良は見過ごす訳にいかない。病院には俺から連絡しておくから、今日診てもらった方がいい。外来は午前中だけだからね。ちゃんと行くんだよ?分かった?」
「……はい」
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