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封筒の中に入っていたものは、一枚のレントゲン写真とカルテらしきもの。
きっと患者さんの物なんだろうけど、どうしてこんなところにあるのだろうか。
レントゲン写真に書いてある名前を見たすみれは、驚きのあまり声をあげてしまった。
「ええっ!?ど、どうして…………」
レントゲンとカルテには『坂本健斗』と記名されていたのだった。
保が午前中のうちに予約を入れてくれていたから、すみれは病院で待たされることもなく診察を受けることができた。
疲れからくる体調不良であることは予測できていたけど、もう一つ重要な原因が明らかになった。
保が帰ってきたら真っ先に知らせないと……。
その前にすみれにはやるべきことがあった。
診察の後、患者さんが入院している病棟へと向かう。
総合受付で教えてもらった部屋番号を探し当てると『坂本健斗』と書いてあるのをしっかり確認してからドアをノックした。
部屋はシーンと静まり返って物音ひとつしない。
眠っているのかもしれないし、ノックが聞こえなかった可能性だってある。
すみれはなるべく音を立てないように気をつけてドアを開け、病室の中に入り込んだ。
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