救いの手

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「越智、大丈夫か?」 「大丈夫…………でもないかな。心配かけてごめんね、長谷川」 健斗と別れて、落ち込んでいるすみれを励ますのは保だった。 保は高校時代から健斗やすみれと仲が良く、特に健斗とは男同士の深い絆があった。 だから健斗の浮気についてや、他にもいろいろなことを保は知っていたのではないかとすみれは思っている。 保に聞いてみればなぜ健斗が浮気したのか、浮気相手がだれなのか、分かるかもしれないとも思った。 だけどすみれは健斗のことを保に聞いたりはしなかった。 今更聞いたところで健斗が戻ってくるわけではないし、それにこれ以上健斗のことを憎むようなことはしたくないとすみれは考えていた。 「もう健斗のことは忘れろよ。俺がすみれを一生守ってやるから。俺は健斗より先にすみれのことを好きになったんだ。二人が付き合うようになったから言えなかったけど、ずっと好きだった」 保からすみれへの突然の告白。 健斗から「保は昔からすみれのことが好きだった」とは聞かされていたけど、あまり本気にはしていなかった。 しかし本人から打ち明けられたのだから、健斗が言ったことも嘘ではなかったということなのか。
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