救いの手

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保に対してすみれは恋愛感情を持ったことは全然なかった。 友達だという認識だったし、それになによりすみれのそばには健斗がいたから。 健斗と別れたからといって、すぐに保と付き合うつもりにはなれない。 今までと同じように友達でいられたらいいと思っていた。 保はすみれの気持ちを尊重し、強引に迫ったりすることはなかった。 友達として連絡をとりあったり、時々食事をしたり、休日が合えば一緒にでかけたり。 今までとほぼ変わらない付き合いのように思えた。 ただ、二人の間にいた健斗という存在が消えたことで、すみれと保の関係がより近付いたのは必然だった。 保は高校卒業後、国立大の医学部に進学した。 大学を卒業した後は最新の設備が整った総合病院に就職し、今も内科医として勤務している。 医師としての仕事は多忙ではあるが、休日は出来る限りすみれと共に過ごすようにしていた。 最初のうちは保からすみれを誘うばかりだったのが、いつからかすみれの方から保に連絡することも多くなった。 そしてなるべく二人で過ごせるように休日を合わせるようになっていった。 二人が親交を深め、友達から恋人にステップアップするまで時間はかからなかった。
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