雨音

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

雨音

 暗闇の中、私は1人で膝を抱えていた。新月の夜より暗い闇の中だというのに、この足下に広がるものがおびただしい数の赤子の死体で形成されているのだということを、私は瞬時に悟った。怖くはなかった。ただ、ぶにぶにとした触感を感じながら歩くのは嫌で、立ち上がることすらしなかった。  何故だか目を瞑ることが出来ない。きっと悪夢を見ているのだろう。すべきことも無く、私のしでかしたことだけが転がるこの世界で、丸まって、小さくなって、私が私の罪で埋もれてゆっくりと窒息するように、私は願う。  手を胸の前で組んで俯くと、あの日と同じ雨の音がした。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!