事の発端

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事の発端

 朝、教室に行くと何やら騒がしかった。 教室の真ん中では大人しめの女の子が泣いている。 「おはよう、どうしたの?」 「チェーンメールがゆかりちゃんの席に回ってきてなんかヤバイものみたい。」 自分の席の近くにいたクラスメイトに理由を尋ねると彼女は小声で教えてくれた。 「なんだ、そんなこと。」 更に話そうとした彼女を制して美咲はあまり人がいない図書館へ行った。 あれから何があったかわからないが、 再び教室に戻ったときはみんな落ち着きをとりもどしており、 泣いていた女の子も友達と談笑していた。 図書館に向かおうとした私をゆかりちゃんと彼女の友人達が呼び止めた。 少し緊張した様子のゆかりちゃんの見、なんとなく用事の内容を察した。 「美咲ちゃんもこの手紙まわしてよ。」 ゆかりちゃんの手を引いた学級委員の女の子がそう言って花柄の便箋を渡してきた。  便箋にはチェーンメールが書かれていた。 「チェーンメールとかキライだからいやだけど。」 突き返そうとしたが、誰も受け取ってくれなかった。 仕方なくゴミ箱に捨てようとしたが、数人がかりで止められてしまった。 「30人に回さないと私死んじゃうもん!!」 そう言ってゆかりちゃんが泣き出すと取り巻きの人数が更に増え、他のクラスの子さえも加担していた。 「死ぬわけないじゃん。バカなの??」 「なんだ死なないってわかるの!?この手紙のそいでテロ事件に巻き込まれて死んだ人がいるんだよ!? ゆかりちゃんがそうなったらかわいそうじゃん!」 「いや、死ぬわけないって言ってるじゃん。 なんでテロに巻き込まれた人がなんでその手紙もらったからってわかるの?? 小学六年になってそんなこともわからないなんて本当にバカだね。」 そう言うとさらに泣き出してしまい、周りにいた子に一斉に責められた。 「そんなこと言ったらかわいそうじゃん!!」 「バカとか言ったらいけないんだよ!?」 「謝りなさいよ!!」 ゆりかちゃんの方を見ると、彼女は友達の背中に隠れて俯いている。 先程から他人に頼って後ろに隠れている彼女の態度に腹が立っていた私はだんだん押さえられなくなっていた。
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