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私はガタリと、音を立てて席から立ち上がった。
「あのさ。あなた達の話し声全部聞こえてるし、五月蝿いんだけど?私に文句があるならはっきり言ったら?」
私が教室の入り口付近で屯して、何時までも揉めている男達に睨みを効かせながら言うと、しんっと教室が静まり返る。
しかし、私はそれに構わず木下を睨み付けながら更に続ける。
「過去の事をいちいちウジウジと鬱陶しい男。正面切って文句言えないくせに人に隠れてこそこそ悪口いうし、ほんと、男の癖に粘着質で鬱陶しい上に女々しい奴ね。」
半ば呆れたような目で木下を見つめて嘲笑い、そして今度は威圧するように低い声で告げた。
「文句があるなら今ここできくけど?」
「ちっ!ねーよ。」
私の言葉に木下は盛大に舌打ちすると、ドアを蹴って教室から出ていった。
あの調子だと今日は戻ってこないかもな。
ホームルームは良いのだろうか。
等と静まり返った教室の中でぼんやり立ったまま考えていると、眉を下げ、何とも言えない表情をした好野君と目が合った。
「笠上さん…」
か細く呟かれた声に対し、私は先程木下を威圧したように好野君を睨む。
「何?貴方も私に文句があるの?」
「……いや、何でもない…」
私の言葉に好野君は目を逸らしながら、そう言うと黙り混んだ。
「ふん。」
私はそれを見て鼻を鳴らすとストンと席について本を読み始める。
すると、教室は再び喧騒に包まれた。
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