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私がそんなことを心中で考えていると、横田先生が突然、眉間に皺を寄せた。
「おい。誰か失礼なこと考えてないか?なんか、変な寒気がしたぞ。」
脅威の直感力で私の思考を察したのか、横田先生は生徒達を疑うように一人一人視線を合わせ始めた。
そんな姿を見た我がクラスの黒髪爽やか男子こと、風見くんは可笑しそうにケラケラと笑いながら横田先生に向かって口を開く。
「えー?気のせいだろ~」
爽やかな人気者の風見君の言葉に、彼のファンである女子達も口々に「そうそう。」と頷き始めた為、横田先生は引っ込まざるえなくなった。
「なんか釈然としないが…まぁ、気にしても仕方ないか」
横田先生はムムムと、唸りながらもそう呟くと、気を取り直すかのように溌剌と言う。
「よしっ!気を取り直してホームルーム始めるぞー!」
担任の元気の良い声と共に、クラス委員長が号令をかける。
「起立、礼、おはようございます。」
「「「お早うございます」」」
クラス委員長の掛け声の後に続いて、他の生徒達も挨拶をした。
「着席」
そして次の委員長の声に従って、生徒達は着席し、それを後目に横田先生は目だけで出欠をとると、ホームルームを始める。
「えっとだな。今日は重大な話があるわけだが、先にいうとお前達が聞かなくなるかもしれないで、先に連絡事項から行くぞー」
そう言って、横田先生は淡々と連絡事項を説明していく。
生徒達はそれを聞きながらも、重大な話しとは何だろうと首を傾げていた。
そして暫くして、横田先生による連絡事項が終わりを迎える。
「──よし、連絡は以上だ。それで、本題には入るが、昨日山口が倒れたらしい。」
あまりに簡潔且つ、今日の天気の話でもするかのようにあっけからんと口にされた言葉に、生徒達は動揺を隠せなかった、
ザワッ
途端に教室の空気が、生徒達の驚愕に揺れる。
そして、それを予想していた横田先生は片手をあげて直ぐ様制止した。
「静かに。まだ話は終わってないぞ。それで、続きだが…幸い、命に別状はないそうだ。だが、しばらく入院が必要らしい。───てわけてだ」
そう言ってニヤリとする先生に私は嫌な予感を覚える。
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