第1章

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いつの間にか閉じていた瞼を持ち上げる。目に強い光が刺さる。視神経が痛みを訴える。堪えて、瞼を持ち上げ続ける。 やがて、抱えているものが見えてきた。きらびやかだが、決して下品な輝きではない。優しく周囲を照らしている。 「見えただろう。」 「…うん。」 それは、思い出。忘れてはならない、大切な思い出。今までの歩み。想い。 「とっても綺麗だね」 「うん…」 周囲を見渡して気付く。先ほどまで聞こえていた声の主が見えない。目の前から聞こえ、導いてくれていた声の、その主がいない。  当たり前だ。それは自分自身の声だったのだから。  突然の事故に巻き込まれた友。親友ともいえる彼。もういない彼。  後を追うことを考えてしまっていた。きっと本当に目を覚ましたら、母にも父にも怒られるんだろうな。一人になっちゃったけど、独りじゃない。だって、彼だってまだ僕の中に生きているんだから。彼だけじゃない。僕の両親はもちろん、きっと彼の両親も、僕のことを見守ってくれるはず。  一人になったけど、独りじゃない。ゆっくり、進んでいく時間と歩みを合わせていこう。時々振り返っても、怒られないよね。
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