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「すっごい偶然だと思わない、ねこちゃん」  腕をぶんぶんとふってはしゃぐ香織を前に、寧子はため息をついた。  昨日、坂上先輩と会うというから心配していた結果がこれだ。  今日の朝早くからつかまって、昼休みすらこれである。 「それで、結局坂上先輩からの話ってバスケットボールだけだったの」 「なんかそうみたい」  でもそのあと先輩と一緒に帰れてすごく幸せだった~と話がまた戻る。  香織の話を聞く限り、藤堂は香織に悪い感情を持っていない。  むしろよさげですらある。  昔話をずっと聞かされていた寧子にはわかる。  中学校のあたりから、この二人の距離は微妙なラインを保ち続けている。  坂上先輩も、多分気づいたんだろうと寧子は同情する。  彼女がどんな気持ちを藤堂に持っているかは分からないが、状況を知った彼女はきっとこういうだろう。 ――こいつらなんで付き合っていないんだ。  時空を超えて二人の心は一つになった。
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