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 という報告を寧子にしてみる。 「うーん、香織にはあまり言いたくなかったんだけど、坂上先輩って藤堂先輩の彼女なんじゃないかって言われているのよね」  箸で自分の弁当をつつきながら寧子は言う。  寧子が顔を上げると表情の凍りついた香織がそこにあった。 「いやいや、ただの噂だけど。とりあえず、その落としそうになっているパンをしっかり持ちなさい」  香織は一呼吸、二呼吸置いて、再び起動を始めた。  寧子はそれを見て、ただの噂だけどと前置きをして話し出した。  入学当時の藤堂誠司は今ほど部活に真面目ではなかったという。所属はしているものの、何度も部活をサボってはほかの友人たちと遊んでいたという。  そんな彼が一変したのは半年前。  急に部活に熱が入り、黙々と練習を始めたという。  そのころから彼と一緒にいる坂上楓の姿が見られた。坂上楓は女子バスケ部のエースであり現在の部長。彼女と付き合い始めたから彼はバスケに打ち込むようになったのでは。 「と噂されている」  寧子は再び自分の弁当箱をつつき始める。  香織の顔色などお構いなしだ。 「よく知ってるね、ねこちゃん」 「私は興味ないけど、部活の人たちはそうでもないのよ。みんな楽しそうに噂してる」  そうなんだ、とうつむく香りを横目で見、寧子は再び弁当へと視線移した。  不安の種にならなければいいのだが、と顔には出さずにため息をついた。  そうして後日、坂上楓と伊賀崎香織はたった二人で対峙していた。
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