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3.
――シュートを教えてください。
放課後、楓を前にした藤堂は突然頭を下げた。
驚きつつもよく聞けば、何でもバスケットボールにおけるシュートの指導を頼みたいらしい。
他の先輩でもなく、男子の部員でもなく、なぜ私なのか。そう尋ねた。
――誰よりも、お前のシュートが一番きれいだった。
バスケを始めたのは高校に入ってからだという。そんな彼の目を驚かせるほど、楓のシュートは美しかったという。
なぜ楓なのかはいい、でも入部後からずっとサボり続けていた藤堂が、急にやる気になったのか、そこが気になった。
――この間、後輩に会った。
そいつはすごいやつでさ、と彼ははにかみながら話し始めた。
そいつは昔からの幼馴染なんだが、これと決めたら譲らないやつだった。
自転車の練習のときなんかすごいんだぜ、何度転んでも立ち上がって、もう一回、もう一回ってな。
それがまたすごくかっこいいんだ。
そのとき俺、決めたんだ。俺は、こいつよりもかっこいいやつでいようって。
後輩に会ったときについ、言っちまったんだ。高校生になったら俺がレギュラーでバスケやってるところ見せてやるって。
あいつには、かっこ悪いとこ見せられないから、今から死に物狂いでレギュラー勝ち取る。
だからさ、
――俺にシュートを教えてください。
楓は了承した。
シュートだけでなく、ドリブルも、ボールを持った時の動き方も。
プロの動きを見てみなさい。素人はまず、それができるようになればいいのよ。
動画サイトを利用してプロのプレーを見せた。
藤堂に半年も必要なかった。
4ヶ月もあれば彼はレギュラーを勝ち取っていた。
それから先も楓との特訓は続いた。
学年が変わるまでは。
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