1.異彩な教え子

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  ◇ ◆ ◇ ◆  2年2組  六月 零  児童養護施設出身。  本校へは、今年度より編入。  学力、体力共に申し分ないが、コミュニケーション能力に乏しい模様。 「いわゆる、ぼっちってやつですね……」  クラス担任就任1年目にして、大当たりです。  新人の必須アイテム・メモ帳を閉じて、ため息をおさえきれません。 「ミーツバっち!」 「は、はいっ!」  ひとり廊下を歩いているところを、呼びとめられました。  振り向くと、栗色のクセっ毛と、エメラルドのようにキラキラした瞳が印象的な青年が、爽やかな笑顔を見せていました。須藤くんです。  声が上ずらなかったあたり、日野 三葉、成長したようです。 「どうかしましたか? 須藤くん」 「ミツバっち見かけたから! やっぱオツカレ気味? 俺でよかったら、なんか手伝うよ?」 「あわわわ……わたしごときに、もったいなきお言葉ぁ……!」 「ミツバっち……一応、俺のほうが立場下だかんね?」 「感動に、打ち震えているのですっ!」  
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