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なにをやっても鈍くさいわたしが、まさか生徒に慕われていたなんて。
閻魔帳を抱きしめてペコペコお辞儀を繰り返していると、プッとふき出す須藤くん。
「あっはは! 生真面目だねぇ~!」
「唯一の取り柄です!」
「頑張るのはいいけど……あんまムリしないでね? ただでさえ、六月のことで気ィ遣ってると思うし……あ」
しまった、というふうに口をつぐむ須藤くん。たしかに、裏表のない彼らしくない言動です。
「陰口みたいに……ごめん」
「いえ……六月くんが、なにか?」
六月くんのことを気にかけているのは、事実です。
彼がほかのみんなと同じように学校生活を送れるよう、手助けをするのが、わたしのつとめ。
「気になることがあれば、教えてください」
「んー……まぁ、あいつ、あんなんじゃん?」
「あんなん、とは?」
「オッドアイ、だっけ? 右が蒼で左が金とか、すげー色じゃん。聞いた話だと、アレのせいで六月、親に捨てられたって」
「そんな……」
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