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「ですから……!」
「もういいです」
「……っ」
わかってはいたけれど……やっぱり、堪えますね。生徒に、拒否されるのは。
「おれ、わかってました。アナタはきっと、手を差し伸べてくれるって」
……あ、れ。
六月くんはいつ、わたしを振り返ったのでしょう。
「ふぅちゃん、ふぅちゃん」
薄明るい部屋に、突如としてうまれた太陽の笑みも……とろっとろのハチミツにまみれた、誰かの名前も……わたしには、意味がとんとわかりません。
だのに彼は、たしかに、わたしをとらえて離さないのです。
「アナタは、ふぅちゃん。おれがダイスキな――二葉ちゃん」
「――っ!!?」
――フ タ バ
心臓が脈打ちます。
得体の知れない焦りに、後ろへ1歩。
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