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青年は狂ったカラクリ人形と化したのだと、絶望とともに、悟りました。
「ホント、タノシイ……ねぇ〝三葉先生〟も、愉しみましょ? おれといっしょにアソビましょ?」
無邪気な笑みの背で、ゆらり――……
チラつく影。青年の闇。
異常な血の巡りは、誤反応ではないはず。
「怖がらないで。とっても簡単な数アソビだから。七海って、覚えてるよね?」
えぇ、えぇ。覚えています。
ちょうど今朝方でしたか。
〝そんな人はいない〟と、教え子たちに笑い飛ばされた記憶とともに。
「〝六月〟と〝三葉〟……〝七海〟と〝二葉〟……ふたり合わせたら、なんになるでしょう?」
数アソビ。単純な加減乗除。
六たす三。
七たす二。
ふたつ合わせた解は、どちらも。
「……九……?」
「うん、正解。おれが七海 零。正確には、七海 零だった、けど」
「――ッ!?」
「もう、わかるよね? 足りない六月の〝一〟が、どこに在るか」
「う……あぁあッ!!」
頭が痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。
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