2.数をかぞえて

5/6
前へ
/303ページ
次へ
 青年は狂ったカラクリ人形と化したのだと、絶望とともに、悟りました。 「ホント、タノシイ……ねぇ〝三葉先生〟も、愉しみましょ? おれといっしょにアソビましょ?」  無邪気な笑みの背で、ゆらり――……  チラつく影。青年の闇。  異常な血の巡りは、誤反応ではないはず。 「怖がらないで。とっても簡単な数アソビだから。(なな)()って、覚えてるよね?」  えぇ、えぇ。覚えています。  ちょうど今朝方でしたか。 〝そんな人はいない〟と、教え子たちに笑い飛ばされた記憶とともに。 「〝六月〟と〝三葉〟……〝七海〟と〝二葉〟……ふたり合わせたら、なんになるでしょう?」  数アソビ。単純な加減乗除。  六たす三。  七たす二。  ふたつ合わせた解は、どちらも。 「……九……?」 「うん、正解。おれが七海 零。正確には、七海 零だった、けど」 「――ッ!?」 「もう、わかるよね? 足りない六月(おれ)の〝一〟が、どこに在るか」 「う……あぁあッ!!」  頭が痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。
/303ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加