2.数をかぞえて

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「やっ……こないで」 「大丈夫」 「ころさ、ないで……」 「怖かったよね……」 「いやっ、いやぁッ!」 「もう平気」 「あっ……ぅ……」  わたしはなにに怯えているのか。  六月くんはどうして答えてくれるのか。  そっと抱きしめられたら、どうでもよくなって。  あれほど拒否した青年の胸に顔をうずめるわたしの、なんて滑稽な光景でしょう。 「…………レ、イ……」 「ん……」 「ひとりに、しないで……」 「しないよ」  ……なつかしい香りがしました。 「おれには、ふぅちゃんだけだもの」  抱かれる充足感に、わたしはとうとう、安堵してしまったのです。 「起きたら、イイもの見せてあげる。ふぅちゃんを×したアイツの、阿鼻叫喚を……さ」  教え子の腕に抱かれて、わたしは眠りに落ちます。  ――嗚呼、堕ちてゆくのね。
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