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「やっ……こないで」
「大丈夫」
「ころさ、ないで……」
「怖かったよね……」
「いやっ、いやぁッ!」
「もう平気」
「あっ……ぅ……」
わたしはなにに怯えているのか。
六月くんはどうして答えてくれるのか。
そっと抱きしめられたら、どうでもよくなって。
あれほど拒否した青年の胸に顔をうずめるわたしの、なんて滑稽な光景でしょう。
「…………レ、イ……」
「ん……」
「ひとりに、しないで……」
「しないよ」
……なつかしい香りがしました。
「おれには、ふぅちゃんだけだもの」
抱かれる充足感に、わたしはとうとう、安堵してしまったのです。
「起きたら、イイもの見せてあげる。ふぅちゃんを×したアイツの、阿鼻叫喚を……さ」
教え子の腕に抱かれて、わたしは眠りに落ちます。
――嗚呼、堕ちてゆくのね。
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