3.恋慕という狂気

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「教頭のヤツ、相変わらず人遣い荒いなぁ。ミツバっちもさ、イヤならイヤってハッキリ言いなよ?」 「……ありがとう。()(どう)くんは、どうしてここに? あ、部活の用事ですか? 水泳部でしたよね」 「そーそー! 来週から屋外プール使うらしくて。ちょっくら落ちてカラダで水温確認してこいっつー、顧問の無茶ぶり食らったー」 「風邪を引きますよ!?」 「ってのは冗談で、忘れもん取りにきただけでーす」 「~~~っ! 須藤くん!!」 「あっはは! ミツバっち真に受けすぎ!」 「当たり前ですよ! 須藤くんのこと、信じてましたから!」  ムキになって、大人げないですよね。  でも思いのほか、効果抜群だったようで。 「ミツバっちが、俺を……」 「須藤くん?」 「あ――っ! そのっ、なんていうか! ミツバ先生に信頼されてて……嬉しい……です」 「急にかしこまって、変な子ですね」 「子供扱いしないでってば!」 「はい。頼りにしていますね、須藤くん」 「……もぉ、すぐまたそーゆーこと言う!」  ガクリとうなだれた須藤くんは、耳まで真っ赤。  いつもからかわれる側のわたしですから、面白がりすぎたかもしれませんね。 反省です。
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