0.バッドエンド

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 はっ、はっ、と虫の息を繰り返すわたしを、ふいに伸びてきたしなかやな腕が、仰向かせ――  ――ちりん。  鈴の音と、謎の浮遊感。 (ブレス、レット……?)  青年の右手首に鈴が提がっていて、抱きあげられたのだと理解するのに、何十秒を浪費したことでしょう。 「じっとしててね」  ……酷く優しい声音でした。  わたしの膝裏を支えた青年は、踏み出すのです。  腕が血に染まるのも、気にはとめずに。 (もう……ダメね)  血を流しすぎたようです。  青年が心変わりをしたところで、救急車が到着する7分の間に、わたしは事切れてしまうでしょう。  
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