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……冴えない人生でした。
なにも望まず、ひっそりと息を続けて、けれどもそれなりに満たされていたのに……
取るに足りぬ女の24年は、7つも下の青年によって、幕を下ろすのです。
ポタッ、ポタッ――……
ちりん、ちりん――……
血は流れ、鈴は歌う……
「おれはレイ。キライなモノは雨。スキなモノは――なんだと思います?」
……なんだか、まぶたが重くなってきたわ。
早く眠りにつきたくて、わたしは、問い返すのです。
「それは……ひと、でしょうか」
「はい、猫がダイスキな女の子です。薄汚い野良猫を拾って、お風呂に入れちゃうような、ね」
閉じかけたまぶたが、すぅっと持ち上がります。
わたしの本能? あるいは、わたしを抱いた青年が、そうさせたのかも。
「水は大っキライだけど……ふぅちゃんとなら、イヤじゃなかった。いまも、そう」
――ちりん。
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