0.バッドエンド

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 鈴の音が止まりました。青年が歩みを止めたのです。  ぼんやりとあたりを見回して、ようやく思い出します。  ここが、高校という学び舎であったこと。  とりわけ、まだ少し肌寒い、水無月のプールサイドであったことを。 「……スキ」  わたしにできることは、おぼろげな意識のまま、身をゆだねるだけ。 「もう、離れないから……」  青年は、女のわたしから見ても綺麗な顔を、おもむろに近づけます。  そうして形のいい唇で、わたしの下唇を、かすめるのです。 「ずっといっしょだよ――ふぅちゃん」  それが青年の、最後の言葉でした。  
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