1.異彩な教え子

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 松本さんの後ろ、教室最後尾の席から、静かな声が上がります。  ……窒息、するかと思いました。  当然なのかもしれません。右は蒼、左は金と、左右で色の違う瞳に、見つめられてしまっては。まるで、深海と満月のよう。  そして夜色の猫っ毛を持つ彼は、あまりに整いすぎていて、真新しいブレザーがちぐはぐに思えます。 「…………六月、くん」 「はい」  やっとのことで絞り出した声に、青年は眉ひとつ動かさず、淡々と受け答えました。  終始無表情だったのに、わたしにはなぜか、彼が嘆息しているように見えてならなくて。  ……本来なら、もっと早く気づくべきだったのです。  六月くんに関して、なにも茶々を入れない教え子たちの、違和感に。  
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