猫来りて平安を得る

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みーくんがウチに住み着いたのは、いろんな偶然が重なったからだと思います。 みーくん母猫は、ウチにエサをねだりに来る野良猫でした。 父がノラと呼んでいたそのメス猫は、何ヶ月かエサをねだりに来ては、姿をしばらく消し、また現れては、何ヶ月間か家の周りをうろつき生活する。 そんな、旅をする猫でした。 ある年の7月の昼下がり。 ノラは、久しぶりに姿を見せました。 今度は、二匹の子供を連れて。 ノラは茶色い猫でしたが、子供たちは、白い毛に茶色い毛が混じっていました。 オスの兄猫は、耳に怪我をして子供の割には大きかった。 そして、妹の小さいメス猫が、みーくんでした。 三匹はうちの周りに住み着いて、エサをもらいつつ生活を始めました。 二匹の子供は、いつも一緒にじゃれあっていました。 でも、性格は随分違うようで。 兄猫は、どっしり構えていて、真っ先にエサに食いつく元気な猫でしたが。 みーくんは、大人しくて好奇心旺盛で、エサをあげようと勝手口を開けると、エサに見向きもせずウチの中に上り込んできました。 兄猫がエサを食べ終わる頃、みーくんは、エサを食べ、そのあと母猫が、食べるという姿は、微笑ましい光景でした。 でも、そんな日々は長くは続きませんでした。 ある朝のこと、子猫が一匹家の前で車に轢かれ亡くなっていました。 父は、私や母が見てショックを受けないように、見つけてすぐ埋葬したといいました。 首がなくなっていたそうなので、どちらの猫が亡くなったのかわからず、もう一匹はどうしたのだろうと気をもんでいました。 その日、私が会社から帰ると、家に妹猫の、みーくんがいました。 亡くなったのは、兄猫でした。 耳に怪我をするほど、元気な兄猫。 元気が相まって、道路に飛び出してしまったのでは、ないかと想像します。 臆病なみーくんは、それを見ていたのか。 今も、車に異常に怯えます。 みーくんは、寂しいのか助けを求めるように、擦り寄ってきました。 悲しそうな、鳴き声も、今でも忘れられません。 みーくんは、3日ほど何も食べませんでしたが、だんだん落ち着いてきて、エサを食べるようになりました。 みーくんは、寂しさもあり、母猫ノラに甘えに行きましたが、ノラは、みーくんを追い払います。 子離れの時期なのです。
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