939人が本棚に入れています
本棚に追加
「あいつは紳士のふりしてとんでもねぇ変態だからな。変なこと、されなかったか?」
「別に……特別変なことは……されてないけど」
「ホントか?」
捧は言葉を濁らせた僕に詰め寄った。後ろ向きに抱き締められて動けない体を、熱い指先が探ってくる。下着の中に手を入れられそうになり、身を捩って抵抗した。
「なんだよ。俺に言えないようなことをしてるのか?」
「違う。してない。してないけど……」
優しい、けれど執拗な手はスウェットの中を確かめるように動いた。
「抱きたい」
低く甘い声で囁かれて心臓が跳ね上がる。
「でも……」
昨日はたまたま入れ代わった新明さんに捕まって朝まで抱かれた。新明さんは一度始めるとなかなか終わらないタイプで、二度目にイッた時は、カーテンの隙間から見える空が白み始めていた。今も腰が痛い。下半身が倍ぐらいに伸びたんじゃないかというぐらい重い。
「なんだよ、俺じゃ嫌なのか」
「そうじゃないけど、時間がないし……僕の中ではみんな同じだから……」
「そうか。じゃあいい」
捧は僕を抱き締めていた腕を離すと、拗ねたように背を向けた。横になった背中がピクピクと痙攣している。
「捧? 怒ったの? ねぇ、捧ってば」
肩に手を掛けて揺すると、捧は背中を一瞬ビクッとさせた後、ゆっくりと寝返りを打った。
最初のコメントを投稿しよう!