歯車

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ある日、マヴィスに突然、星を見に行こうと言われた。逃げ出すチャンスかもしれないと思った馬でも乗ったら自由だ。けれどマヴィスは歩いて行こうと手を繋いだ。手を繋いだのは付き合ってた時ぶりで最近では初めて嬉しいと思った。あーあ、僕はまだまだヴィンレアが存在しているんだ。ヴィンレアはマヴィスのことが一番だからマヴィスから与えられた温もりはなによりも嬉しい。けれどフェイクとしては違う。最近はフェイクの本能が強く出ていて絶望しかしてなかった。ついたのはよく寮を抜け出してきた。何もない原っぱだった。ここは灯りも何もないから綺麗に月と星が観れる。数少ない僕たちのデートスポットだった。なぜか泣いていた。すると抱きしめられて頭を優しく撫でられた。 「大丈夫だから、ヴィンレアが必要とされたいなら俺が必要とする。ヴィンレアの神様にはなれないけど死なないで一緒に生きて欲しい。」 ああ、こんなにも愛しい。なぜ、忘れていたんだろう。こんなに離れがたいほど愛してたのに最初のうちは死にたくない。人間らしく生きたいと思ってたのに 「マヴィス、僕はマヴィスのことを愛してる。きっとフェイクの本能は僕を支配して死にたくなるだろうけど僕はマヴィスとヴィンレアとして生きたい」 単純なことだったのだ。愛されたいそれは神様でありそしてマヴィスに どちらにも愛されようなんて強欲で傲慢なことを考えていたんだ。 僕はフェイクとして生きるのでなくヴィンレアとして生きよう。マヴィスが僕を必要としてくれる限り 「ありがとう。ヴィンレアがフェイスの本能に負けないようにサポートするからまた付き合って。」 「はい」 と頷いた。そして僕たちはお付き合いを始めた。
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