5月の水辺

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ところが前の方の席を二人並んで陣取って、開演を待っていた。 「前過ぎたかな」 「まあ、」 私はどうしてこうなったのか、思い返しては首を振る。 挨拶回りから戻ってきた彼が、行こうと言って私を席へとエスコートしたのだ。 お酒強い人だから気にしてはなかったけど、もしかしたら酔っているのかもしれない。 モヤモヤとして、だんだん苛ついてくる。 自分からフっておいて、なんだこれは。 期待してしまう。 右に座る彼を盗み見る。 絶対に、知り合いに噂される。 付き合ってたことは一部の人は知っているが、関係者にはあまり知られないようにしていた。 こんなプライベートで一緒にいたら、たまたまだとしても傍から見ればパートナーを連れ添ってきたと思われかねない。 私の視線に気づいた彼は、小首をかしげた。
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