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「...帰り、バスなので、ここで失礼します」
落ち着きを取り戻そうと、これ以上声を荒げないようにと、声音を落とす。
「もしかして夜行バスで帰るのか」
「泊まれないので」
「そんな格好で危ないだろう」
「平気です。慣れてますので」
先程と同じ文言で返した。
「どこかホテルでも取って朝一で帰ればいいだろ。日曜日に仕事でもないだろ」
「父が心配するので」
「夜行バスで帰る方が心配だ」
これでは埒があかないので、私はわかったと嘘を言ってホテルを探すと言い捨て歩き出した。
だが腕を捕まれ、引き止められる。
「泊まるならもう少し聞いていこう」
「いえ、ホテルを急いで探さなければいけないので」
「なら送ろう。ホテルが見つかるまで付き添う」
「結構です」
「みづき」
突然、名前で呼ばれる。
私は固まってしまった。
「もう少し我慢して一緒にいてくれないか」
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